さて、前回の続きです。
幼稚園での演奏が無事に終わり、天候も回復し、午後4時からのマルタさんのクリニックへと移動することになりましたが、なんとトロンボーン1番くんが欠席。クリニックも、その後のアップビートさんの前座演奏もCount Bubba's Revengeを演奏することになっており、その曲には超難易度のトロンボーン・ソリがあって、彼なしでは演奏は不可能です。バンドはこの日の為に準備をしており、曲目の変更はできません。そんな大ピンチの中、わたしたちのバンドの1年生、アイコに白羽の矢を立てました。アイコは吹奏楽経験者で、トロンボーンのセンスのある子です。「本番まで3時間ある。これから学校へ戻って練習しよう。君が1番を吹くしかない。」わたしが言うと、アイコは茫然として涙目に。無理もありません。この曲は先輩たちが数カ月練習して吹けるようになったのですから。アイコはこの曲の担当ではなく、4番だけは少し吹いたことがある、という状態でした。それでもみんなから「アイコならできるよ!」と言われ、トロンボーンセクションだけ学校に戻りました。五泉から新潟へは、マネージャーのミノリに任せることにしました。
学校に戻り、個人練習すること1時間。ゆっくりのテンポからパートで合わせて1時間。最後に、ステレオでCDをかけ、CDと一緒に練習すること5回。なんとか完成させることができました。車に乗り込み新潟の会館へ到着したのはクリニック直前でした。アイコ、本当にごくろうさま!ありがとう!
思えばこれまでのJazz Hornetsの歩みの中でも、大会直前にベーシストが休部して初心者の1年生が代役を務めたり、1年後その代役を務めたベーシストが手首を骨折して半年演奏ができなくなったり。トランペットのトップが生徒会の仕事の為に3カ月練習に来られなくなったり、部室が雨漏りしてアンプがだめになったり、ソリストがインフルエンザになって私が代役で吹いたり…万全の状態で演奏できたのは数えるほどしかなかったような気もします。それでも、子供たちはなんとかたくましくカバーし合い、助け合って、今日まで歩んできてくれたのです。
マルタさんのクリニックも演奏も、素晴らしいものでした。楽器を鳴らすことを中心に教えていただきました。しかし何より感動したのは、ステージに上がったマルタさんの発するオーラです。リハーサルや、クリニックでは「人の良いおじさん」という雰囲気なのですが、ステージに上がった瞬間、「大スター」のオーラに包まれ、その演奏は聴く者の心を圧倒しました。まさに圧倒的な演奏でした。生徒たちも「すごすぎる!」と茫然としていました。
アップビートさんの演奏もさすが新潟のトップバンド、勉強になることだらけで、つくずく、このような機会を与えていただいたことに感謝です。リーダーの中村さんの、「最高の演奏をする。妥協はしない。この姿勢を貫き通すことで、35年間やってきました」という言葉がとても印象的でした。
生徒たちの解散は夜の9時。それから自宅に戻り、ようやく夕食にありつきました。寮生は朝の5時に起床し、夜の9時過ぎまでおにぎり1個と、幼稚園でいただいたサンドイッチだけしか口にしなかったものもありました。
長い長い一日。大変なことだらけでしたが、多くの方々に助けていただき、なんとか演奏を終え、生徒たちは一回りも二回りも成長したことと思います。送迎を助けていただいた保護者の皆さま、温かく送り出していただいた保護者の方々に感謝いたします。
新潟市にあるキリスト教主義学校、敬和学園高等学校のビッグバンド、Jazz Hornetsと敬和学園大学Jazz Questの卒業生、そしてその指導者と講師で作った社会人ビッグバンド、Jump for Joy の活動を紹介するブログです。バンドのコンセプトは、デュークエリントンをリスペクトするアコースティックジャズバンド。キリスト教の精神である喜びと感謝の気持ちをもって、みなさまに幸せをお届けしたいと願っています。 God loves us. All of us. Everything he gives us is good for us. Happy times, sad moments, joy and sorrow, he gives them for our sake… even death. That’s the reason why we "Jump for Joy."
2012年2月27日月曜日
2012年2月25日土曜日
五泉市 いずみ幼稚園訪問 大冒険
去る2月18日土曜日、五泉市いずみ幼稚園で演奏させていただきました。このレポートの副題は「大冒険」です。
今年、新潟は記録破りの豪雪ですが、この日の朝も大雪。朝7時頃バンド・マネージャーのミノリから携帯電話に第1報が入ります。「市バスが不通で、寮生が新潟駅まで来られません!」終わったな、と思いました。
しばらくして第2報。「通学生を迎えに出るスクールバスに乗せてもらえたそうです!」奇跡の予感がしました。
新潟駅に到着したものの、今度は第3報。「JRが動いていません!」五泉駅は、JR新潟駅から40分ほど福島方面に走った所にあります。そのままJRで待機せよ、との指令を出しました。
一方、いずみ幼稚園。わたしが到着したのは8時15分ほど。その時は、園長先生と奥様が園の雪かきの最中でした。園はまさに雪の中に埋もれているという感じでした。開演は10時。8時半に五泉駅集合でしたが、車でやってきた生徒や、別方面からやってきた生徒が5名しかおりません。それでもリハーサルを始めました。
リハーサルをしていると、幼稚園の先生から、「なんとか新津駅まで来ていただければ、保護者の皆さんで手分けして運びます」とのお申し出をいただきました。新津駅は、新潟駅と五泉駅のほぼ中間にある駅です。早速新潟駅待機の生徒に電話をし、何とか新津駅までくるように言いました。「駅員さんと相談します!」というミノリの言葉。しばらくして、不通の路線を回避して、長岡行きに乗って新津途中下車ができるという第4報。続いて、「列車は遅れていますが、とにかく列車には乗り込みました!」の第5報。やがて、「列車が動き出しました!」の第6報が入り、幼稚園の先生に申し上げると、幼稚園側も早速保護者の方々に電話をして、新津駅に向かっていただきました。三十分ほど経って、「新津駅に着きました!」の第6報。引き続き、「保護者の方に会えました!」の第7報。その頃には、園児や保護者の方々が園に集まり、会場に入場し始めていました。
とうとう全員が到着しました。雪の中、小さな体に大きな楽器を抱えて。寮生は朝の5時起床でしたから、5時間かけての到着です。よく頑張ったね!到着したのは開演予定時刻の10時。チューニング5分と、簡単なリハーサルを行い、10時10分、10分遅れで演奏会をスタートさせることが出来ました。
会場では懐かしいOBや、在校生、様々な方々に応援していただき、本当に楽しい演奏会を行うことができました。昼食までいただき、本当に色んな方々のお支えがあって演奏活動が出来るのだなあと、感激しました。写真は、演奏後、園児達が歓迎の歌を歌ってくれているところです。かわいかった!こんな風に喜んでいただき、また多くの方々とのふれあいを通して、わたしたちは演奏面でも精神面でも大きな恵みをいただき、成長させていただいているのだと、つくずく感じます。
何度ももう駄目だ!と思った一日でした。それでも、奇跡のように、そして園のみなさんの暖かい心によって、困難を乗り切って演奏することができました。今から思っても夢のようです。
ところがこの日、まだトラブルは終わっていなかったのです。
この日の夕方、あのサックス奏者、マルタさんのクリニックを新潟で受ける予定になっており、その後、Up Beat Jazz Orchestra35周年記念コンサートの前座を務めさせていただくことになっていました。ところが、頼みのファースト・トロンボーンくんが欠席で連絡がつかない状況になっていたのです。この日、Count Bubba's Revengeを演奏予定で、この曲には各セクションの超難易度の高いソリがあることから、ファースト・トロンボーンなしでは絶対に演奏が行えないのです。
という訳で、マルタさんのクリニックと前座演奏をどうしのぐか?豪雪を乗り切った直後、Jazz Hornets始まって以来の大ピンチです。
続きは次回のお楽しみです。
今年、新潟は記録破りの豪雪ですが、この日の朝も大雪。朝7時頃バンド・マネージャーのミノリから携帯電話に第1報が入ります。「市バスが不通で、寮生が新潟駅まで来られません!」終わったな、と思いました。
しばらくして第2報。「通学生を迎えに出るスクールバスに乗せてもらえたそうです!」奇跡の予感がしました。
新潟駅に到着したものの、今度は第3報。「JRが動いていません!」五泉駅は、JR新潟駅から40分ほど福島方面に走った所にあります。そのままJRで待機せよ、との指令を出しました。
一方、いずみ幼稚園。わたしが到着したのは8時15分ほど。その時は、園長先生と奥様が園の雪かきの最中でした。園はまさに雪の中に埋もれているという感じでした。開演は10時。8時半に五泉駅集合でしたが、車でやってきた生徒や、別方面からやってきた生徒が5名しかおりません。それでもリハーサルを始めました。
リハーサルをしていると、幼稚園の先生から、「なんとか新津駅まで来ていただければ、保護者の皆さんで手分けして運びます」とのお申し出をいただきました。新津駅は、新潟駅と五泉駅のほぼ中間にある駅です。早速新潟駅待機の生徒に電話をし、何とか新津駅までくるように言いました。「駅員さんと相談します!」というミノリの言葉。しばらくして、不通の路線を回避して、長岡行きに乗って新津途中下車ができるという第4報。続いて、「列車は遅れていますが、とにかく列車には乗り込みました!」の第5報。やがて、「列車が動き出しました!」の第6報が入り、幼稚園の先生に申し上げると、幼稚園側も早速保護者の方々に電話をして、新津駅に向かっていただきました。三十分ほど経って、「新津駅に着きました!」の第6報。引き続き、「保護者の方に会えました!」の第7報。その頃には、園児や保護者の方々が園に集まり、会場に入場し始めていました。
とうとう全員が到着しました。雪の中、小さな体に大きな楽器を抱えて。寮生は朝の5時起床でしたから、5時間かけての到着です。よく頑張ったね!到着したのは開演予定時刻の10時。チューニング5分と、簡単なリハーサルを行い、10時10分、10分遅れで演奏会をスタートさせることが出来ました。
会場では懐かしいOBや、在校生、様々な方々に応援していただき、本当に楽しい演奏会を行うことができました。昼食までいただき、本当に色んな方々のお支えがあって演奏活動が出来るのだなあと、感激しました。写真は、演奏後、園児達が歓迎の歌を歌ってくれているところです。かわいかった!こんな風に喜んでいただき、また多くの方々とのふれあいを通して、わたしたちは演奏面でも精神面でも大きな恵みをいただき、成長させていただいているのだと、つくずく感じます。
何度ももう駄目だ!と思った一日でした。それでも、奇跡のように、そして園のみなさんの暖かい心によって、困難を乗り切って演奏することができました。今から思っても夢のようです。
ところがこの日、まだトラブルは終わっていなかったのです。
この日の夕方、あのサックス奏者、マルタさんのクリニックを新潟で受ける予定になっており、その後、Up Beat Jazz Orchestra35周年記念コンサートの前座を務めさせていただくことになっていました。ところが、頼みのファースト・トロンボーンくんが欠席で連絡がつかない状況になっていたのです。この日、Count Bubba's Revengeを演奏予定で、この曲には各セクションの超難易度の高いソリがあることから、ファースト・トロンボーンなしでは絶対に演奏が行えないのです。
という訳で、マルタさんのクリニックと前座演奏をどうしのぐか?豪雪を乗り切った直後、Jazz Hornets始まって以来の大ピンチです。
続きは次回のお楽しみです。
2012年2月19日日曜日
Student Jazz Festival 2012
去る1月21日、東京、日本青年館で開催されたSudent Jazz Festival 2012に参加してきました。東日本の多くの学生バンドの演奏を聴くことができ、とても勉強になりましたし、ゲストバンドの明治大学Big Sound Societyのベイシースタイルの演奏にも感動しました。
先日、300枚近いメッセージカードが届きました。たくさんのバンドの方々から、心温まるメッセージを頂き、部員一同感動し、また励まされました。ありがとうございます!!
このフェスティバルでは、トランペットのスズキユウタロウが優秀ソリスト賞をいただきました。ありがとうございました!
写真は、あそこです。OBの方なら一目で分かる、あの歩道橋の上です。中央の街灯に、「田舎者は東京へ来るな!」と落書きがしてあります。初めてこのフェスティバルに参加した7年前から変わらぬ落書きです。田舎者のわたしたちは、ここで必ず記念写真を撮って帰るのです。
当日演奏したCount Bubba's Revengeのリハーサルの様子をYoutubeにアップしましたので、よろしかったらご覧下さい。
2012年2月7日火曜日
スズキさんより献金をいただきました
先日、トランペットパートのスズキさんより献金をいただき、中古のトランペットを2台、購入させていただきました。Jazz Hornetsは部員も増え、楽器が足りないと、うれしい悲鳴をあげていたところなので本当にありがたかったです。現在部員が33名。新一年生が入部しても楽器がありません。トロンボーンセクションではベルが歪んでもはや朝顔の形に見えないものや、スライドの動きにくいものを使用している子もいます。
安くて良い楽器をいつも探し求めていますが、今回は40年前の楽器とはいえ、1台目のブッシャーは、なんとチェット・ベイカーが使用していたのと同じモデル。2台目のアンバサダーは、リー・モーガンやフレディ・ハバードが使用していたのと同じモデルで、鳴りは抜群で素晴らしい楽器のうえに、格安で購入することができました。良かった!現在、アンバサダーは、1年生のミヤオが使用しています。ブッシャーは来年の1年生に使ってもらおうと思っています。
安い楽器と言えば、サックスにイオとユニゾンというメーカーがありますが、先般、イオのテナーと、ユニゾンのアルトを中古で購入しました。こちらも素晴らしい楽器でした。これは、おすすめです!びっくりするぐらい良い楽器です。
サックスについてですが、わたしは3年間、クラッシックの先生についてサックスを習いました。クラッシックのアンブッシュアはとてもタイトで、これですと、口元で音程を変えることができないので(あるいはしてはならないので)楽器の音程が正確であることがとても大切なんですね。ですから、中のレやミについては、換え指を使い、アンブッシュアを変えることはないのです。ところが、ジャズの吹き方はアンブッシュアがとてもルーズで、音程は半音どころか1音ほども変えることができます。ですから、歌を歌うのと同じように一音一音音程をとりながらアンブッシュアも調節するので、楽器本来の音程の正確さはそれほど気にならないのかも知れません。音色も、重厚で濃密な、みっしりとしたものよりも、管体が薄くパリパリ鳴る方が良いということもあります。以上のことから、いわゆる高価な楽器でなくても、ジャズでは問題ないばかりか、むしろ良い結果が得られるのかも知れません。前にも書きましたが、わたしたちがジャズの吹き方に換えたのは昨年の夏以来のこと。その時から、サックス隊の音量が倍増し、とてもジャズらしいアンサンブルになったと、少し自慢に思っているところです。東京でのクリニックに感謝しています。
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